現場のリアルを未来の価値へ。農家の覚悟に寄り添い、持続可能な『価値づくり』をデザインされている森本さんにお聞きいたしました。


Q.農調での当時の具体的な活動内容と、その中で最も達成感を得た瞬間について教えてください
農調では、毎週の勉強会を中心に、調査テーマの設定、候補地の選定、事前リサーチ、アンケートの作成といった一連のプロセスを学生主体で進めていました。当時はリサーチスキルが十分とは言えず、もっと学んでおけば良かったと反省する点が多々ありますが、学生の立場で主体的に企画から調査まで取り組めた経験は非常に貴重でした。
現地調査では、生産者への聞き取りやアンケート調査を行い、「本当は除草剤を使いたくない」という印象的な言葉にも触れました。その言葉を受け、実際に除草作業を手伝う中で、農家のこだわりと覚悟の大きさを体感しました。
また、農家のご家庭に泊まり込み、朝から晩まで働き続ける生活に触れたことで、机上の学びでは理解しきれなかった農業の一端や、その厳しさの一部に触れることができました。
活動の集大成である収穫祭では、幹事として全体のコーディネートを担当しました。文連の役員会への出席や調査地への受け入れ依頼、初対面の方々への交渉など、プレッシャーは大きかったものの、全体運営を任された経験は大きな挑戦でした。
私にとって最も達成感を得た瞬間は、この収穫祭をやり遂げたときでした。多くの不安を抱えながらも、仲間と協力し最後まで責任を果たせたのではないでしょうか。
Q.農調での一番の思い出や、自分自身を突き動かしていた原動力は何でしたか?
一番の思い出は、幹事として活動全体を支える役割を担ったことです。調査候補地への交渉など、学生ながら責任ある立場を任されたことは、やりがいも大きいものでした。
当時の私を突き動かしていた原動力は、「もっと農業を理解したい」「農家の役に立てる人間になりたい」という純粋な思いでした。生産者から「将来は農業指導でこの地域に来るかもしれないね」と言われた言葉は大きな励ましとなり、自分の進む方向性を後押ししてくれました。
Q.部活動時代に経験した最も大きな「挫折」、または「課題」と、そこから得た教訓は何ですか?その教訓は、現在にどう役立っていますか?
最大の課題は、自分の未熟さでした。リサーチスキル、コーディネート力、社会常識、どれをとっても不足しており、振り返ると恥ずかしいと感じる場面ばかりです。もっとリーダーシップを発揮できたのではないかという反省も残りました。
しかし、この経験から「不足を自覚することが成長の第一歩」であることを学びました。先輩に農業系映像プロダクションでのアルバイトを紹介してもらい、取材の方法や現場での立ち振る舞いを学べたのは、自らの課題に気づいたからこそ掴めた機会でした。
この教訓は今でも活きており、仕事の中で新しい分野に挑戦するとき、まず「学ぶ姿勢を持つこと」を大切にするようになりました。

Q.農調で培った経験が、現在の職業や活動に、どのような形で影響を与えてましたか?
農調の経験は、現在の「農業資材の営業企画」という仕事に直接影響を与えています。特に、「付加価値の創造によって農業の収益性を高める」という視点は、農調で感じた課題意識がそのまま土台になっています。学生時代、生産者と消費者の接点が極めて少なく、“売り方”や“伝え方”によって収益が大きく変わる現実を知りました。
その学びをもとに、現在は栽培方法の改善提案に加え、ブランド化・販路開拓など、収穫後の価値創造まで見据えた企画を行っています。 農調を通して身につけた「現場に寄り添う視点」が、今の企画提案の大きな強みになっています。
Q.今後、キャリアや人生において「新たに挑戦したいこと」、または「学生時代の学びを基に、さらに深めていきたい分野」はありますか?
学生時代から現在まで、「儲かる農業」を実現したいという思いは一貫しています。大学時代の25年前と比べて農業従事者数は約半減しており、このままでは持続可能な農業が成り立たない危機感があります。
今後は、「農業付加価値の最大化を図る企画づくり」にさらに力を入れたいと考えています。生産者が収益性の高い農業を実践できるよう、ブランド戦略・販路開拓・消費者との結びつきの強化など、価値づくりの仕組みをより深めていきたいです。
Q.最後に、一言で、調査とはなんでしょうか?
調査とは、「現場の声を未来の価値につなげる行為」だと思います。
現場で得られたリアルな情報(困りごと・ニーズ・気づき)を、将来の改善・商品企画・仕組みづくりなどに活かして“価値”へ変えていくことです。

森本 真司(H14企業卒)
株式会社welzo R&D dept アグリビジネス課にて営業企画の仕事
国内外のお客様に対し、農業資材や農産物の提案、商品開発、マーケティング調査を行っています。営業部門と同行しながら、生産者の課題を探索し、新規農業資材の試験栽培や検証にも取り組んでいます。今回、農調時代を振り返り、より謙虚に取り組む必要性を感じ、初心に立ち返る良い機会をいただきました。